京都、嵐山は渡月橋の側に桜が満開に咲き乱れる公園でお花見をしています。
少しだけ早まった満開時期の桜のせいか観光客もまばらで、調子に乗った甲冑姿の外国人以外は近所の人たちが思いおもいにブルーシートを広げてのんびりと過ごしています。
お花見というものは、その時間全てが楽しいというわけでなく、楽しい時間とどうしても手持ち無沙汰になってスマホを見てしまう時間がランダムに発生します。
つまらない時間から逃げるようにインターネットサーフィン(死語)をしていると、訳の分からないタイミングで広告動画が再生されます。
画面全体を突如覆ってゾンビを撃ちまくったり、ブロックを崩したり、謎のサプリメントを紹介したり。
大抵5秒から15秒その興味のない広告動画に耐えているとスキップボタンが表示されるはずなので、広告がスタートした数秒後には血眼になっていつもスキップボタンを探しています。
スキップボタンは、その存在を一度でも認識してしまうとその絶大な魅力に抗い難いものです。
現実に則して言えば、まだ薄暗い早朝、目が覚めて「もうそろそろ出勤する時間」を感じ取るとや否や終業時間までスキップしたり、同じ苦痛ループで何の希望もない未来に対してとりあえず数年スキップしてみたり、ある種苦痛を和らげるドラッグのように、一度スキップを覚えてしまうとその頻度や間隔が際限なく増大していきます。
あらゆる苦痛をスキップできるということは、ある種の天国にいるようで、何物にも脅かされずに生きたい瞬間だけを生きていけます。
しかしスキップ中毒に陥ってしまうと、最終的にはスキップ先そのものが消失していることに気がつくでしょう。
永遠にスキップボタンが表示されない悪質な広告表示のように、そのフリーズした画面をみた人類は確定でアプリ自体を終了あるいはスマホ自体をスリープさせるでしょう。
苦痛ばかりが続く日々に夢見たスキップ天国は今ではすっかり日常となり、B級映画の結末のようにその日常すら退屈という地獄に変わり、最初で最後の人生からのスキップをするという短絡的な結末を迎えてしまうこともあるでしょう。
何気なく見ていたページや動画の広告をスキップする時、苦痛がスキップできると知った時、それでもこの地獄で生き残るためのご褒美をいつでも即日手に入れたい!と思うように全人類はAmazonプライムに加入して備えるべきなのです。
Presented by キョウトスイスイ
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